「リケジョ」
理系女子:理系の女子学生や女性研究者の略称?? 本来は講談社の登録商標なのですが,講談社のHPに 「拡散希望」と明記してあるので,それを信じて使わせていただいています。このページはかなり堅い内容ですが,我慢して見てください! 猿橋賞は女性研究者をはぐくんでいく,本当の第一歩でした。
リケジョ
「リケジョ」ブームのきっかけ
読売新聞ニュース(女子高校生の部活での研究が,ACSのジャーナル J. Phys. Chemに掲載)
茨城県の女子高生らが新たな化学現象を発見し、権威のある米専門誌に論文が掲載されることが決まった。専門家は「高校生の論文掲載は世界的な快挙。今後は彼女らの実験結果を、プロの化学者が後追い研究することになるだろう」とたたえている。茨城県立水戸第二高の数理科学同好会に所属し、今春までに卒業した小沼瞳さん(19)ら5人で、2008年2月の金曜日、「BZ反応」という実験を行った。酸化と還元の反応を繰り返すことにより、水溶液の色が赤と青に交互に変わる。 その日、水溶液の色は想定通り赤で動かなくなった。メンバーは器具を片付けないままカラオケへ。ところが月曜日に実験室に戻ると、液は黄色くなっていた。予想外のことで、観察を繰り返した結果、赤青の変化が一度止まった後、突然、始まった。全く知られていない現象だったが、試薬の条件が整えば、5〜20時間後に変化が再開することを突き止めた。
(2011年11月17日14時32分 読売新聞 原文通り掲載)
BZ反応(Belousov-Zhabotinsky反応)
サイクリックな酸化還元反応で,水溶液の色が交互に変わっていく反応。周期反応として有名なもの。BelousovがTCAサイクルを模倣した反応系を構築して,溶液の色が時間的に振動することを発見した。Zhanotinskyが追試して確認。この化学反応溶液を静かに置いておくと、同心円状のパターン(target pattern)が生じる。
難しい説明ですが,要するに周期的に色が変化する溶液反応です。酸化還元と指示薬をうまく組み合わせることにより,周期的な変化が生み出されています。もっとも,化学系の大学生なら,ジャボチンスキー反応を知らない人はそういないと思います。
リケジョ
猿橋賞
猿橋賞
「女性科学者に明るい未来をの会」(1980年創立)が,自然科学の分野で顕著な研究業績を収めた女性科学者を毎年1人ずつ選んで与えている賞(猿橋賞)です。女性研究者にとって,この賞をもらうことが大きな目標になっています。
以下は猿橋賞のHPからです。
私たちは女性科学者の持つ、きわめて高い潜在能力を信じ、それに大きな期待を寄せている。また、私たちは我が国の自然科学の今後の発展が、女性科学者の活動に依存することがきわめて大きいと考えている。そして現在、女性科学者がおかれている状況の暗さの中に、一条の光を投じ、いくらかでも彼女らを励まし、自然科学発展に貢献できるように支援することができればと願っている。
幸いにして、今春、気象研究所地球化学研究部長を定年で退官される猿橋勝子博士が、退官記念事業の一環として、友人・先輩から寄せられた寄付金五百万円の全額を、その目的のために提供されたので、とりあえず、それを当初の基金として「女性科学者に明るい未来をの会」を設立し、その事業として「学術賞」(猿橋賞)を、優れた研究業績を挙げた女性科学者に贈呈することにしたものである。
要するに,女性科学者にとっては大きな目標となっている賞です。第16回までの受賞者をあげていますが,医学・生物系が多いですが,数学や化学など様々な分野の人が受賞しています。ちなみに,第16回の受賞者が理研の理事で,名前を聞いたことがあるかとおもいます。(管理人の先輩ですので,悪意で載せたというつもりは全くありません。)
受賞者
第1回 (1981) 太田朋子 国立遺伝学研究所 研究室長
「分子レベルにおける集団遺伝学の理論的研究」
第2回 (1982) 山田晴河 関西学院大学 教授 (故人)
「レーザー・ラマン分光による表面現象の研究」
第3回 (1983) 大隅正子 日本女子大学 教授
「酵母細胞の微細構造と機能の研究」
第4回 (1984) 米沢富美子 慶應義塾大学 教授
「非結晶物質基礎物性の理論的研究」
第5回 (1985) 八杉満利子 筑波大学 助教授
「解析学の論理構造解明のための方法論」
第6回 (1986) 相馬芳枝 通産省工業技術院大阪工業技術試験所 主任研究官
「新しい有機合成触媒の研究」
第7回 (1987) 大野 湶 東京工業大学工学部 助教授
「電気化学的薄膜形成の基礎的研究」
第8回 (1988) 佐藤周子 愛知がんセンター研究所 放射線部長(故人)
「放射線によるがん細胞分裂死の研究」
第9回 (1989) 石田瑞穂 国立防災科学技術センター 研究室長
「微小地震による地下プレート構造と地震前兆の研究」
第10回 (1990) 高橋三保子 筑波大学生物科学系 助教授
「原生動物の行動の遺伝学的研究」
第11回 (1991) 森美和子 北海道大学薬学部 助教授
「医薬品合成のための新しい反応の開発」
第12回 (1992) 加藤隆子 国立核融合科学研究所 助教授
「高温プラズマの原子過程の研究」
第13回 (1993) 黒田玲子 東京大学教養学部 教授
「非対称な分子の左右やDNA塩基配列の識別のしくみの研究」
第14回 (1994) 白井浩子 岡山大学理学部附属臨海実験所 助教授
「ヒトデの排卵と卵成熟のしくみの研究」
第15回 (1995) 石井志保子 東京工業大学理学部 助教授
「代数幾何学における特異点の研究」
第16回 (1996) 川合真紀 理化学研究所中央研究所 主任研究員
「固体表面における化学反応の基礎研究」
リケジョ
女性のためのその他の賞
猿橋賞は工学系での受賞者はいないのですが,工学系の女性研究者にも門戸を開いている賞(グラント)は色々とあります。その一部のご紹介です。(名工大の人間がとったものばかり集めていますが・・お許しください。)
資生堂 女性研究者サイエンスグラント
資生堂 女性研究者サイエンスグラントのHP
「資生堂 女性研究者サイエンスグラント Shiseido Female Researcher Science Grant」は指導的研究者を目指す貴女を支援する研究助成です。自然科学分野の幅広い研究テーマ(理工科学系・生命科学系全般)を対象に、2007年度の設立以来、毎年10名の女性研究者へ研究助成を行ってきました。新規性・独創性があり、ご自身の研究分野を切り拓く意欲のある研究計画を歓迎します。(資生堂のグラントHPより)
ロレアル-ユネスコ女性科学者 日本奨励賞
ロレアル-ユネスコ女性科学者 日本奨励賞のHP
1998年に創設され、科学の発展に寄与した業績を称え、毎年世界5大陸から5名の女性科学者選出し、賞状ならびに賞金10万USドル(約1,000万円)を贈呈しています。受賞分野は、隔年で生命科学、物理科学に分けて行っており、ノーベル賞受賞者を含む世界の科学界の権威で構成される国際選考委員会により受賞者を選出しています。
管理人はもちろん男です。名工大の入試広報の事実上の責任者になってからもう12年になります。出身は東大理学部化学ですが,それでも女性は少ないところでした。でも,管理人の出身研究室からは2名の猿橋賞受賞者が居ます。佐佐木女学院と言われたような研究室でした。ですから,女性の優秀さは120%身にしみています。
名古屋工業大学 052-735-5082 豊田工業大学 0120-3749-72